小さな御神木を育てる
猛暑もようやく落ち着き、秋の気配を感じられる季節になってきましたね。
これから紅葉が美しくなる時期に、小さな御神木として「雑木盆栽」を始めてみてはいかがでしょうか。
雑木盆栽には、モミジ、カエデ、ナラ、ツタ、カリンなど、紅葉を楽しめる品種が多くあります。紅葉が終わると葉は落ちますが、落葉しても根は生きています。根は生命の源であり、春になれば再び新しい葉が芽吹いてくるのです。
小さな鉢で育てるということは、四季の変化を肌で感じ、自然のエネルギーを意識するということでもあります。天から降り注ぐ生命の力を、盆栽を通じて直接感じることができるでしょう。
もちろん、生き物ですので調子を崩したり、時には枯れてしまうこともあります。しかし、それは誰もが一度は経験すること。大切なのは、諦めずに「どこが悪かったのか?」を考え、もう一度小さな御神木づくりに挑戦してみることです。
【盆栽選びのポイント】
•元気な株を選ぶ。
葉色が薄い黄緑色で、元気がないように見えるものは避けましょう。
•「珍しい樹種」は避ける。
売店や展示会の即売会などで「これは珍しい樹種ですよ」と言われることがありますが、珍しいものは一般的に育てにくい場合が多いため、初心者にはおすすめしません。
•最初からしっかりした鉢に植えられているものを選ぶ
ある程度つくり込まれている(“しつけ”がされている)ものは、育てやすく、盆栽としての完成度も高いです。
•自分の好みに合った樹形を選ぶ
形がある程度整っていれば、眺める楽しみも増します。樹形にはさまざまな種類がありますので、気に入ったものを選び、少しずつ手を入れながら育てていきましょう。
•購入後は、管理方法を学ぶ
特に水やりは環境によって適切な頻度が変わります。まずは自分の育てる環境に合った管理方法をつかむことが第一歩です。
雑木盆栽は、季節の移ろいや自然とのつながりを身近に感じることができる、奥深い趣味です。失敗を恐れず、小さな命と向き合いながら、自分だけの御神木を育ててみてください。
【主な樹形の種類】
双幹(そうかん)
二本の幹がある樹形です。盆栽の世界では「二幹」ではなく「双幹」と呼びます。
細幹(ほそみき)/文人木(ぶんじんぎ)
幹が細く、ひょろひょろと背丈が高い樹形です。中でも、太幹の迫力とは対照的に、軽やかで洒落た印象を持つ樹形は「文人盆栽」と呼ばれます。
斜幹(しゃかん)/吹き流し
幹が斜め上へ伸びていますので斜幹と言います。この写真の木の様に左方向から風に吹かれてこの様な形になったとも見えるので、吹き流しと言われることもあります。
直幹(ちょっかん)/模様木(もようぎ)
幹が真っ直ぐなのは直幹と言いますが、曲がっている幹は曲幹とは言わず模様木と言います。
寄せ植え
種をまき、そこから芽吹いた複数の苗木をそのまま一緒に育てたものです。一本一本に分けず、このまま寄せ植えとして楽しむことができます。