吒枳尼眞天とは

二十四節気
〜季節を感じるこの一句

文・浦川聡子

晴れぎはの
はらりきらりと
はる時雨しぐれ

川崎てんこう

4月19日は穀雨です。「春雨がひゃっこくを潤す」という意。恵みの雨が地上にある数多あまたの草木に降り注ぎ、成長を促します。この時期に雨が多いのは、暖かくなり凍っていた地表が解け、大気中の水蒸気が増加することによって、雲が形成されやすくなり雨が多く降るということがあるようです。

そんなこの時期、雨にまつわる言葉がたくさんあります。「花の雨」(桜の頃に降る雨)、「たね」(菜の花が咲く頃に降り続く雨)、「春霖しゅんりん」(春の長雨)、「さい」(花が咲くのを促す雨)などなど。

「春時雨」は春に降る時雨のことで、降ったり止んだり断続的に降る小雨。掲出句は、春時雨がまもなく止みそうな瞬間をとらえた一句。日差しはすでに明るく、ほそい雨に光がきらきらと当たっている。「晴れぎは」「はらりきらり」「春時雨」の頭韻のハ音の調べが心地よい。

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